原価算入利子と資産除去債務の違い

この記事を読むとわかること☝️
利益を資産に乗っけるのか、将来の撤去費用を今の時点で資産化するのかがわかる!

原価算入利子(Capitalized Interest, ASC 835-20)

対象:建設中の資産(自己建設、不動産開発など)

計算方法:

  • 建設にかかった借入金の利息のうち、「建設に係る支出額 × 適用利率」で算定。
  • 実際に資金を使ったタイミングに応じて加重平均支出額を使う。

▶︎「発生した借入利息のうち、建設に関係ある分だけを資産計上」

仕訳イメージ:

建設仮勘定    XXX
   利息費用    XXX

その他:建設完了後は資産に含まれてDep対象になる。

資産除去債務 (Asset Retirement Obligation, ARO, ASC 410-20)

対象:使用後に撤去・原状回復が義務づけられてる資産(石油プラント、原発、設備埋設とか)。

計算方法:

  • 将来の除去費用を「現在価値」で見積もって負債計上。
  • 同額を資産の取得原価に加算。
  • 割引計算に使った金利で利息的な増加(acc accretion expense)が毎期発生する。

仕訳イメージ:

有形固定資産取得時
建物・設備        XXX
   ARO(資産除去債務)    XXX

資産除去債務の調整時
accretion expense XXX(利息部分)
   ARO(資産除去債務)    XXX

その後:資産側はDep、負債側は利息費用(accretion)で増えていく。

共通点と差異

共通点

✔️両方とも一旦資産に組み込む→Depで費用化するという流れ

差異

  • 原価参入利子:建設中の間だけ、利息を資産にのっける。完成したら終わり
  • 資産除去債務:初期に一括で現在価値を資産に加算、その後は利息分を負債側で積み上げる(資産には追加しない)
  • 時間軸:
    • 利息資本化=建設期間限定
    • ARO=資産の使用開始から除去までずっと

まとめ

項目原価算入利子資産除去債務
対象建設中資産使用後に撤去が必要な資産
タイミング建設中のみ取得時+毎期負債増加
資産側建設仮勘定に利息分を追加取得原価に現在価値を加算
負債側特になしAROとして負債計上+利息で増加
費用化完成後Depで費用化Dep+accretion expense

原価算入利子と資産除去債務はイメージは似てるけど利息資本化は建設期間の利息を資産にプラス」「AROは将来の撤去費用をいまの負債+資産に同額認識して、負債は利息で増えていく」っていう違いがあるよ💡